知財部を立ち上げて2年、全てを失った話
今日はかなり個人的な話をしたいと思います。私が経験した「知財部を立ち上げて2年後に、会社の経営不振で部署ごと無くなった」という話です。
会社の経営状況とは別に、知財DXが加速する中で、企業の知財部や特許事務所で人員削減が行われるのは確実だと私は考えています。皆さんが知財業界で生き残っていくために、私が自分の体験から学んだ大切なことについても語らせてください。
未経験から知財部へ。夢中で駆け抜けた2年間
元々、私はエンジニアでした。ある日突然、「うちの会社に知財部を作るぞ!」という話になり、未経験ながらその立ち上げに関わることになりました。右も左も分からない知財の世界に飛び込み、特許の出願から権利化、知財戦略の立案から自社として初の審決取消訴訟まで、文字通りゼロからのスタートでした。
毎日新しい知識を吸収し、会社の未来を築く一端を担っている喜びを感じていました。知財業務の体制づくりに奔走する日々は充実していて、正直、転職なんてこれっぽっちも頭になかったんです。この場所で、知財のプロとして成長していくんだと、固く心に誓っていました。
突然のリストラ宣告、そして迫りくる「退職の日」
そんなある日、突然の知らせが会社からありました。リーマンショックに伴う経営不振による大規模な組織再編。バックオフィスのほとんどが外注化され、社員はリストラの対象に。立ち上げたばかりの知財部も、例外ではありませんでした。
頭が真っ白になりました。一方、リストラが告知されてからも、私にはやるべき引き継ぎ作業が山ほど残っていました。自分で立ち上げた知財部門だからこそ、最後まで責任を全うしようと動いていました。そうして、転職活動に十分な時間を割けず、次の仕事の当てもないまま、無情にも「退職の日」がきたんです。
「あの時、こうしていれば」後悔と、未来への教訓
今振り返ると、あの時の私は、あまりにも無防備でした。
特に、未経験で知財の仕事に関わることになった最初のタイミングで、知財系の転職エージェントと関係を築き、継続的にキャリアプランを形成しておけば良かったと強く思います。当時は目の前の業務で手一杯で、そんな先のことを考える余裕はありませんでした。
もし、エージェントと定期的に面談し、自分の市場価値や知財業界でのキャリアパスについてアドバイスをもらっていたら。突然のリストラ宣告に慌てることなく、冷静に次のキャリアを考える時間も持てたことでしょう。
国民全員が自分のAIエージェントを所有する時代がやってくると言われています。それと同じように、「働く人(少なくとも組織に雇われる人)は、自分のことを理解したキャリアエージェントと二人三脚でキャリアプランを構築するべき」と私は考えています。AIを使いこなしている人と生身の人では、前者が圧倒的な成果を出す時代です。それと同じように、あなたも転職エージェントを使いこなして、良いキャリアを築くべきなんです。
知財の仕事は、専門性が高く、面白い分野です。だからこそ、そのキャリアを大切に、計画的に育てていく必要があるのだと、私は身をもって学びました。
絶望の淵で見つけた「知財コミュニティ」という光
話を戻します。途方に暮れていた私を救ってくれたのは、意外な場所でした。それは、知財実務家が集まるコミュニティです。
私は知財の仕事に関わり始めた当初から、知財に関する勉強会や交流会に積極的に顔を出していました。そこで知り合った方々との繋がりが、私が退職後に知財の仕事を見つける上で、何よりも大きな力になったのです。
求人サイトを探すだけでは見つからないような求人情報、「こういう人材が欲しい」という生のニーズ。そして何より、私のこれまでの仕事ぶりや人柄を知ってくれている方からの、温かい「声かけ」や「紹介」。
結果的に、私はこれまで、全て知財コミュニティを通じて、次の仕事を見つけてきました。転職エージェントが「知財キャリアの設計図」を描く手助けだとしたら、コミュニティはまさに「現場の声」や「人との繋がり」という、生きた情報と機会を与えてくれる場所でした。
知財業界は狭い。だからこそ、その中で築き上げた人脈や信頼は、何よりも強力な財産になる。身をもって、そう実感しています。
今から知財キャリアを築くあなたへ
自分の苦い経験が、そしてそこから見つけた光が、これから知財の仕事に関わろうとしている皆さんにとって、少しでも役立つことを願っています。
未経験からであろうと、経験者であろうと、知財のキャリアは奥深く、素晴らしいものです。時に、突然の出来事で大きく方向転換することもあります。そんな時、あなたを支え導いてくれる存在が、転職エージェントであり、そして知財コミュニティです。
転職エージェントは、あなたのキャリアの羅針盤となってくれます。
・今のあなたの市場価値は?
・どんなスキルを身につければ、将来の選択肢が広がる?
・知財業界の今のトレンドは?
・もしもの時、どんな求人がありそうか?
彼らと早い段階から関係を作り、定期的に情報交換をしておくこと。これは、知財業界で安定した、そして望むキャリアを描くための、最も確実な「保険」であり、「投資」だと僕は思います。
そして、もう一つ。ぜひ、知財実務家が集まるコミュニティにも積極的に参加してください。 オンラインでもオフラインでも、様々なコミュニティがあります。最初は緊張するかもしれませんが、一歩踏み出して、同じ志を持つ人々と繋がりましょう。そこには、情報交換だけでなく、困った時に助け合える仲間、そして時に、未来のキャリアを拓くチャンスが眠っています。
焦って転職先を決めるのではなく、自分のキャリアを中長期的な視点で捉え、計画的に準備を進めること。それが、知財業界で成功を掴むための重要な一歩となります。
あなたの知財キャリアの可能性を最大限に引き出すために、まずは信頼できる転職エージェントとの出会い、そして知財コミュニティへの参加から始めてみませんか? きっと、新しい世界があなたを待っています。私も、この経験を糧に、今後のキャリアを力強く歩んでいきたいと思います。
以下、参考
最初の転職が落ち着いてから登録して、何度か相談に乗ってもらいました。その時々で働いている事務所を伝えたら「それならしばらく転職活動は必要ないですね。働きやすくて人気がある、良い人材を受け入れる側の事務所ですから」とこちらに寄り添った話をしてくれて、信頼が持てました。
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知財実務家コミュニティはいくつかあります。自身の属性に合わせて気になるところに参加してみてください。
・知財若手の会(チザワカ)
・suiP~スタートアップ知財コミュニティ~
・知財女子会オンライン
・知財みらい会
※チザDも知財実務家コミュニティの構築を目指しています。良ければ下記記事もご覧ください。
「チザDが目指すのは「知財DXユーザーコミュニティ」の形成である」知財デジタルイノベーションハブとは何か(ver.1)
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