NEC知財DX事業の謎を追え。特許3件読んでみた
「日本電気」「拒絶理由」で特許を調べてみたら…
島津製作所のGenzo AIと並んで、今期の知財業界を騒がせているのがNECの知財DX事業の開始です。
NECは、蓄積された知的財産業務のノウハウと最先端AI技術を駆使し、知的財産に関する戦略立案・創造・保護・活用など、幅広い知的財産業務のDXを推進し、企業の知的財産部門における業務効率化および高度化を支援する「知財DX事業」を開始します。第一弾として、NEC独自のAIを活用したSaaS型の業務効率化ツールとコンサルティングサービスの提供を2026年4月から開始し、2030年度末までに売上30億円を目指します。
NECのDX価値競争モデルである「BluStellar」は2030年度に1兆3000億円の売上目標を掲げており、知財DX事業もその一角(というには小さいですが)に含まれるのだと思います。
NECの知財DX事業は、Genzo AIに比べて、いまいち情報が出てこない印象です。NECのHPには、下記の記載がありました。
何となくやることはわかるんですが、もう少し詳しく見てみようと特許を読むことにしました。
NECの特許3件読んでみた
検索キーワードは雑に「権利者:日本電気株式会社」「全文:拒絶理由(を含む)」です。特許検索やってる人に見られたら怒られそう。
まず特許の内容以前の話ですが、2025年1~3月に出願して2025年11月までに全て登録。全て出願当日あるいは直後に早期審査をかけているので、既に知財DX事業に乗り込む話が決まっていたのかもしれません。
まあ、そんな想像を膨らませながら、特許の内容を読んでいきましょう。
特許第7694850号(2025年1月9日出願。2025年6月10日登録)
【請求項1】
請求項と前記請求項に係る発明が記載された明細書とを入力文として受け付ける受付手段と、
前記入力文から前記請求項に含まれる用語を抽出する第1指示と、抽出された用語の前記明細書における定義の有無に関する説明文を生成する第2指示と、を大規模言語モデルに入力する入力手段と、
前記第1指示と前記第2指示とに基づき生成された生成文を取得する取得手段と、
前記生成文に基づき抽出された用語のそれぞれの定義の有無に関する説明文を出力する出力手段と、を備え、
前記入力手段は、前記生成文の取得に応じて、抽出された用語のうち前記明細書において定義されていない用語を特定する第3指示と、特定された用語の定義を説明する候補文を生成する第4指示と、を入力し、
前記取得手段は、前記候補文を含む生成文を取得し、
前記出力手段は、前記候補文を含む生成文に基づき、特定された用語それぞれの前記候補文を出力する、
検証支援装置。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7694850/15/ja より引用
ざっくり言うと、「請求項の構成要件に含まれる用語が明細書中でサポートされているかを確認し、サポートされていない場合にはその用語の説明を行う文面案を作成する」という特許です。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許出願に係る明細書、及び特許請求の範囲は、記載要件にしたがって作成される必要がある。例えば、特許請求の範囲における請求項に係る発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであってはならない。請求項に係る発明が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである場合、当該特許請求の範囲の記載は、サポート要件違反となる。また、例えば、特許請求の範囲は、特許を受けようとする発明が明確に把握できるように記載されなければならない。特許を受けようとする発明が明確に記載されていない場合、当該特許請求の範囲の記載は、明確性違反となる。
【0005】
特許出願の前には、明細書及び特許請求の範囲の記載が、このような記載要件を満たすか否か検証を行うことが重要である。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7694850/15/ja より引用
特許第7772265号(2025年1月27日出願。2025年11月10日登録)
【請求項1】
本特許出願の内容と、本特許出願に対する拒絶理由と、本特許出願に対する引用文献とを取得する取得手段と、
前記拒絶理由を参照せずに、本特許出願に含まれる1又は複数の請求項が有する各要素と、前記引用文献に記載の各要素との対応付けを行う第1対比手段と、
前記拒絶理由を参照して、本特許出願に含まれる1又は複数の請求項が有する各要素と、前記引用文献に記載の各要素との対応付けを行う第2対比手段と、
前記第1対比手段による対応付けの結果と、前記第2対比手段による対応付けの結果とを大規模言語モデルに入力することで、前記拒絶理由に対して応答するための応答案を作成する応答案作成手段とを備える情報処理装置。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7772265/15/ja より引用
これは特許庁から拒絶理由通知が来た後に、その内容の妥当性を検討し、応答案を作成してくれるという内容です。
【0020】
より具体的に言えば、情報処理装置1によれば、特許出願の中間処理における作業負担が大幅に軽減される。特に、第1対比部12を備えることで、拒絶理由通知の影響を受けない客観的な分析結果を参照して補正案を作成することができる。また第2対比部13を備えることで、拒絶理由通知の内容を反映した補正案を作成することができる。さらに応答案作成部14により、客観的な分析と拒絶理由通知の内容を対比して、拒絶理由通知の指摘に対して反論の余地があるかどうかを、より明確に把握することができる。これにより、より公平かつ包括的な視点から補正案を検討することが可能となり、結果として高品質な中間処理が実現される。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7772265/15/ja より引用
拒絶理由通知書の内容を参照せずに、引用文献だけ参照させるというアプローチは、自分が過去にやったこの検証に近いですね。怒られるかもしれない。
Claudeで出願人と審査官を作って対決させてみた(前編) - 知財デジタルイノベーションハブ
特許第7736218号(2025年3月31日出願。2025年9月1日登録)
【請求項1】
発明に関する情報と、第1明細書に関するフィードバックとを受け付ける受付手段と、
前記発明に関する情報に基づく前記第1明細書の作成を指示する第1指示と、前記フィードバックに基づく指示であって、前記第1明細書よりも詳細な第2明細書の作成を指示する第2指示と、を言語モデルに対して行う指示手段と、
前記第1指示及び前記第2指示に対する前記言語モデルによる生成結果を出力する出力手段と、
を備え、
前記第2指示は、前記フィードバックの分析結果に基づく前記第2明細書の作成指示であって、前記フィードバックの内容を、前記フィードバックの箇所以外へ適用して前記第2明細書を作成する指示を含む、
ことを特徴とする情報処理装置。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7736218/15/ja より引用
最初に発明の概要を入力すると仮明細書(第1明細書)が作られ、仮明細書を見ながらフィードバックをして本明細書(第2明細書)を作りこんでいく、といった内容の特許です。
【0021】
以下において、第1明細書は、情報処理装置100による明細書作成において、当初の段階で仮に作成される明細書である。第1明細書は、明細書の記載の概略や方向性をユーザーが把握可能であればよく、特許法上の記載要件を満たすものでなくてもよい。すなわち、第1明細書は、明細書のすべての記載項目が書かれている必要はなく、また説明が部分的なものであってもよい。第1明細書は、仮明細書と呼ばれてもよい。
【0022】
第2明細書は、第1明細書を基に作成される明細書である。第2明細書は、第1明細書を参照したユーザーによる指示に応じて、第1明細書に対してユーザーの意図に沿った追記や修正がなされた明細書である。第2明細書は、そのままで、又は更に必要な追記や修正を行うことで特許出願に用いることができる程度に記載要件やその他の事項が満たされていることを想定する。第2明細書は、本明細書と呼ばれてもよい。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7736218/15/ja より引用
まとめ
以上、NECの知財DXに関する特許を3件読んでみた、でした。他にもあると思いますので、気が向いたらちゃんと探してみようと思います。
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