知財DXとはAIの導入か、それとも人の派遣か
OpenAIやAnthropicが、いよいよ現場に降りてきた。
こんな記事を見つけました。
OpenAIやAnthropicが、いよいよ現場に降りてきた。
OpenAIが開発会社を立ち上げた。企業の中に入り込むエンジニア(Forward Deployed Engineer)を送り、AIを業務の中核に組み込む会社だ。AIコンサル・エンジニアリング会社も買収する予定で、約150人のエンジニアやコンサルが最初から参加するらしい。
Anthropicも同じ方向に動いている。Blackstone、Hellman & Friedman、Goldman Sachsと組んで、Claudeを企業の中核業務に入れるためのAIサービス会社を作る。Anthropic側のApplied AIエンジニアも、その会社のエンジニアチームと一緒に動く。
要するに、モデルを作る会社が、APIを売るだけではなくなってきた。「どうぞAIを使ってください」から、「私たちが御社をAIマスターにします」になってきているのだ。
AI企業が「受託」を始めた日。エンジニア、PM、デザイナーはどうこの先生きのこるか|深津 貴之 (fladdict) より引用
AIを提供するだけで終わらない。それを使って業務を変革できる人も送り込む。そんなイメージです。
自分の知っている医療業界の事例
この記事を読んで、似た話を前に聞いたなと思いました。
株式会社Medical AI LABとの提携のお知らせ | 日本データー|株式会社日本ビジネスデータープロセシングセンター
医療IT分野の一つに「レセプト(診療報酬明細)」を扱う領域があります。どの患者に対して、どんな医療行為を提供して、いくら診療報酬がもらえるか、が記録された、病院経営においては一丁目一番地とも言えるデータです。
Medical AI LABという会社は、「AIレセチェッカー」という製品を医療機関に提供することで、煩雑なレセプト点検業務の負担から医師・医療事務担当者を解放し、大幅な効率化と精度向上を実現するという価値を提供する会社です。
一方、日本ビジネスデータープロセシングセンター(以下、日本BDPC)という会社は、医療事務業務だけではなく、医療機関内で発生するあらゆる業務を代行するアウトソーシングサービスを提供すると共に、病院経営における様々な課題解決策の立案、及び業務改善の提案等、医療機関の良きパートナーとして業務運営をサポートする会社です。簡単に書くと、医療事務をはじめとした医療スタッフを医療機関に派遣する会社です。
この両者が提携して医療機関をサポートする。プレスリリースには明確には書いていないですが、日本BDPCから派遣される医療スタッフは、AIレセチェッカーに習熟した人材である可能性は極めて高いのではないでしょうか。
また、AIレセチェッカーの導入事例記事に下記のような記載があります。
病院固有の設定や診療報酬改訂というソフトウェア利用そのものの課題についても、「AIレセチェッカー」は運営するMedical AI Labからのサポートがあるため、職員の異動や離職による影響を無くすことができました。これにより、今は業務課題を積極的に見つけ、機能向上を進めることができるようになりました。
AIレセチェッカー導入事例 東京都:某大学病院 様 より引用
AIというインターフェースを利用して、各社の固有事情を吸い上げる仕組みがあります。さきほども書いたように、レセプトは病院経営に関する情報の一丁目一番地。ここを社外の立場から握れるというのは非常に強いと思います。この情報を使って、病院経営のコンサルティング等にも踏み込んでいけるわけですから。
さて、知財業界はどうなるか
では、知財業界ではどうなるか。1つの事実として、2030年度に知財DX事業で30億円の売上を目標とするNECは、SaaS提供だけではなく「+コンサルティング」を明確に打ち出しています。
AIと人の派遣。どちらが主役なのか。どちらが予算を取りやすいのか。その辺が今後の知財DX推進のポイントになりそうです。
プロダクトを作るのと、産業を作るのは別のゲームなのだ。
となるとAI企業から見るて、もっと合理的な登山ルートがある。
それは、すでに成立している産業に入る。すでにお金が流れている業務に入る。すでに予算がある会社に入る。
そのほうが遥かに早い。
AI企業が「受託」を始めた日。エンジニア、PM、デザイナーはどうこの先生きのこるか|深津 貴之 (fladdict) より引用
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