弁理士法と知財AIサービスについて
この週末、弁理士法75条と知財AIサービスの話題がXで盛り上がっていました。今日はXであまり見なかった論点「書類作成業務と相談業務」について触れたいと思います。話を単純化するため、本記事では、クレーム案の作成のみを題材にします。
弁理士法75条の独占業務について
弁理士法75条と知財サービスの話は、弁理士の独占業務を非弁理士である知財サービス提供者が行っているのではないかという話で、当該サービスが行っている業務が弁理士の独占業務に含まれるか否かが論点になっています。
弁理士法75条には「弁理士でない者は(中略)政令で定める書類(中略)の作成を業とすることができない」とあり、政令8条には「明細書、特許請求の範囲、要約書」等が該当する書類として規定されています。極端に言うと、知財サービスがクレーム案を作成したとして、「それは『書類』としての特許請求の範囲を作成しているのか」という話です。
弁理士法4条の標榜業務について
弁理士法には、弁理士の独占業務とは別に、弁理士の標榜業務が定められています(4条)。この中で注目なのが、4条3号に規定された「相談」に関する業務です。
発明、考案、意匠若しくは商標(これらに関する権利に関する手続きであって既に特許庁に係属しているものに係るものを除く。)、回路配置(略)又は事業活動に有用な技術上の情報(略)の保護に関する相談に応ずること。
相談業務は平成26年の弁理士法改正によって弁理士の標榜業務に追加となりましたが、下記の理由により弁理士の独占業務になっていないとされています。
なお、非弁理士にもこうした相談業務について知見を有する者がおり、当該業務を弁理士のみに法律上認めることは必ずしも適切ではないと考えられることから、弁理士の標榜業務とした。
『改訂4版 条解弁理士法-平成26年・30年改正法対応-』より引用
個人的な意見としては、発明者や知財部員から発明の内容をヒアリングし、クレーム案を作成することは「特許庁に係属する前の発明の保護に関する相談である」という建付けも可能なように思います。
クレーム案の作成を独占業務に含めたいのであれば、相談業務と書類作成業務との線引きをもっと明確にする必要があるように思います。
ユーザーの利益を考えて議論すべき
以上、簡単ではありますが、弁理士法と知財サービスの議論について私見を述べさせていただきました。
弁理士も審決取消訴訟代理や侵害訴訟代理を行えなかった過去があり、ユーザーの利便性を第一に考え、議論を通じてその権利を獲得してきました。(古谷史旺「心に深く残る出来事『歴史の証言』 全9話」『パテント』(2021))
知財サービスに関しても、ユーザーの利益を第一に考え、丁寧に議論していくことが重要なように思います。
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